銀製品が本格的に作られるようになったのは室町時代に各地で銀山が発見され、海外から新しい精練法を伝来されてからのことだといわれています。
金属は叩いて薄く延ばしたり、熱を加え柔らかくしたり、溶かしたりしていろいろな形にすることができます。こうした金属の性質を利用して、古くから金・銀・銅・錫・鉄などを用いて武具・食器・仏具・装身具などがつくられてきました。
古代エジプトや中国では、銀の産出量が少なく、銀は金より貴重な物だったといわれています。ローマ時代の紀元5世紀頃には銀の産出量も増え、
銀器が珍重され、貴族の宴会にはなくてはならないものとなりました。
欧米では銀製品が好まれ、
富裕な家庭には立派な銀の食器が備えてあるそうです。こうしたことからイギリスには、裕福な家庭に生まれてくる子どもや、幸運に生まれつく子どものことを「銀のスプーンをくわえて生まれてくる」(be
born with silver spoon in one’s mouth) という諺があります。
日本の銀製品の良さは、
慶応三年(1867)パリで開かれた万国博覧会で世界の人々に知られました。明治維新とともに、日本情緒豊かな肉厚の花器が東京でつくられ横浜の港から数多く輸出されました。
戦後、外国人の往来が多くなった東京ではスプーン・フォーク・装身具類をはじめ銀製品の需要も拡大し、今日銀製品は東京が主要な産地です。なお、「純銀」とは
純銀99.9%以上のものをいいます。